そろそろ確定申告の準備!労災保険料と会費の仕訳、正解は?

中小事業主マガジン

この記事はこんな方におすすめです

  • 確定申告の時期が近くなり、どの勘定科目を使えばいいか迷っている建設業の社長
  • 特別加入した労災保険料や事務組合の会費が経費になるのか知りたい社長
  • 「費用」と「勘定科目」の違いを基礎からすっきり整理したい社長

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はじめに

建設業の確定申告で迷いがちな労災保険料や事務組合の会費は、立場や内容によって経費になるかどうかが分かれます。

本記事では、勘定科目と費用の違いから仕訳の具体例までを整理しました。

正しい知識を押さえてスムーズに申告を済ませましょう。

そもそも「費用」と「勘定科目」はどう違うの?

確定申告の準備を始めると、「費用」や「勘定科目」という言葉がたくさん出てきて少し難しく感じてしまいますよね。

まずはこの2つの違いをシンプルに整理してみましょう。

「費用」とは、事業を行って売上をあげるためにかかったお金などを指します。

たとえば、現場で使う資材の購入代金、職人さんへのお給料、移動のガソリン代などが「費用」に当たります。

一方で「勘定科目」とは、その支払った費用が「何に使われたものなのか」を誰が見てもわかるように分類するための見出し(ラベル)のようなものです。

「費用」という大きな箱の中に、「法定福利費」「消耗品費」「旅費交通費」といった名前の小分けの引き出しがあるイメージを持っていただくとわかりやすいかもしれません。

適切な勘定科目を使って日々の帳簿をつけておくと、1年間でどんなことにお金を使ったのかが一目でわかり、税務署への申告や銀行からの融資審査でも安心材料になりますよ。

建設業における労災保険料・組合会費の経費扱いと勘定科目

建設業では、現場で働く従業員さん向けの保険だけでなく、事業主や役員向けの「労災特別加入」を利用されているケースがとても多いですよね。

ここで注意したいのが、「誰のための支払いか」「何の支払いか」によって経費になるかどうかが変わるという点です。

従業員さんの労災保険料

雇用している従業員さんのために支払う労災保険料は、事業を運営するうえで法律上必要な支出ですから、事業主負担分は全額が会社の「経費」になります。

勘定科目は一般的に「法定福利費」を使用します。

中小事業主・役員ご本人の特別加入労災保険料

社長や役員ご自身が特別加入した分の保険料は、従業員の労災保険料とは税務上の扱いが異なります。

個人事業主の場合、社長ご自身の特別加入保険料は事業の必要経費にはならず、事業用口座から支払った場合は「事業主貸」として処理する方法があります。

ただし、確定申告(個人の所得税)の際には「社会保険料控除」として所得から差し引くことができますので、控除の申告を忘れないようにしてくださいね。

なお、法人の場合は、社長や役員の特別加入保険料を会社が負担する際の扱いが異なります。

会社が負担した金額を役員給与として扱う場合などがあるため、税理士への確認が必要です。

労働保険事務組合の「会費」や「手数料」

特別加入などの手続きを委託している労働保険事務組合へ支払う年会費や事務手数料は、事業を行うために必要な支出であれば、経費として計上できます。

勘定科目は「諸会費」や「支払手数料」を使うのが一般的です。

ただし、会費や手数料の内容によって税務上の扱いが異なる場合もあるため、支払いの内訳を確認しておきましょう。

確定申告で迷わない!具体的な仕訳パターン一覧表

「実際に帳簿をつけるときはどう分ければいいの?」という疑問にお答えして、建設業でよくある支払いパターンを分かりやすく表にまとめました。

支払いの内容経費になる?おすすめの勘定科目備考・注意点
従業員の労災保険料・雇用保険料事業主負担分は経費になる法定福利費労災保険料は事業主負担です。雇用保険料は事業主負担分を経費として処理します。
事業主・役員の特別加入労災保険料個人事業主本人の分は必要経費にならない。法人は負担方法により異なる個人事業主は事業主貸。法人は役員給与・立替金など、実態に応じて判断個人事業主本人が負担する保険料は社会保険料控除の対象です。法人負担分は税務処理を確認しましょう。
事務組合の入会金・年会費事業に必要な支出であれば経費になる諸会費業務に必要な組合会費として処理します。入会金は性質により別の処理が必要な場合があります。
事務組合への委託手数料・更新料事業に必要な支出であれば経費になる支払手数料手続き代行の報酬などとして経費計上します。
現場ごとの法定外労災(民間保険)契約内容により異なる保険料など上乗せ補償として加入する保険です。契約者・被保険者・補償内容などによって税務上の扱いが異なります。

※実際の税務処理や仕訳科目の運用については、会社の規模や顧問税理士の方針によって細かな指定がある場合もございますので、申告前に一度ご確認いただくことをおすすめします。

建設業でよく使う勘定科目一覧

建設業では、現場で使う道具や材料、車両の維持費など、さまざまな支払いが発生します。

確定申告の際に迷わないよう、よく使う勘定科目を確認しておきましょう。

勘定科目支払い内容の例
材料費木材、塗料、コンクリートなど
外注工賃外部の職人や協力会社への工事代金
消耗品費軍手、作業用品、事務用品
車両費現場用車両のガソリン代、車検代
旅費交通費現場への電車代、高速道路料金
地代家賃事務所や資材置場の賃料
法定福利費従業員の労災保険料、社会保険料の事業主負担分
諸会費事業に必要な組合会費
支払手数料事務委託手数料、振込手数料
通信費業務用の電話代、インターネット代

※一般的な勘定科目の例です。工事原価に含める費用や固定資産として計上するものは、取引内容によって扱いが異なります。

まとめ

建設業における労災保険まわりの支出は、「従業員さんの分か、社長ご自身の分か」「保険料そのものか、組合の会費か」をしっかり切り分けて考えることが大切です。

  • 従業員さんの労災保険料は「法定福利費」として経費にする
  • 個人事業主である社長ご自身の特別加入保険料は経費ではなく、個人の「社会保険料控除」で活用する
  • 事務組合への事業に必要なお支払いは「諸会費」「支払手数料」などとして経費にする

この3つのポイントを押さえておくだけで、日々の記帳や確定申告の作業がぐっとラクになりますよ。

現場で忙しい建設業の社長にとって、毎年の申告手続きは大きな負担になりがちです。

労災保険の特別加入や労働保険の申告手続きについて疑問や不安があるときは、ぜひ建設業専門の労働保険事務組合RJCへご相談ください。

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ご注意:この記事は2026年11月6日時点の情報に基づいて書かれています。
時間の経過により内容が変更されている可能性がありますので、ご利用の際は必ず最新の情報をご確認ください。
監修者の紹介

林満

元厚生労働省 厚生労働事務官

厚生労働大臣認可 愛知労働局長認可 建設業専門

労働保険事務組合RJC アドバイザー

林 満

はやし みつる

1971年に労働省(現厚生労働省)愛知労働基準局に入局。以降、名古屋東労働基準監督署や瀬戸労働基準監督署、愛知労働局で労災補償課および労働保険適用課にて奉職。適用指導官、職業病認定調査官、労災第一課長、労災保険審査官、労災管理調整官を歴任。特に特別加入制度の手続きや給付に関する相談対応に精通し、職業病認定調査官や労働者災害補償保険審査官としても活躍。2022年までの50年以上にわたる実務経験を持つ労災保険のエキスパート。現在はスーパーゼネコンの安全協力会において特別加入の相談指導を行っている。