【大手損保会社も困惑】元請からの「青いチラシ」の正体と事務所労災の義務化

中小事業主マガジン

この記事はこんな人にオススメ

  • 元請から「青いチラシ」を渡され、「ウチは関係あるの?」と困惑している建設業社長
  • 「損害保険に入っているから、国の労災は十分だ」と誤解している方
  • 上乗せ労災に入っているから「事務所の労災」も補償されているでしょと思っている方

ネット加入は事務組合RJCしかできない!

事務組合RJCしかできません!

「ネットで加入ができる」
「ネットで見積もりができる」
「会員カードの発行がとにかく早い」

特別加入(労災保険)が必要だけど、手続きをしに行く時間がないなら、事務組合RJCに申込み。
ゼネコンが選ぶNo.1だから、間違いありません。

はじめに

労働基準監督署の窓口で事業主自身ができるのは「従業員用の保険成立」までです。

社長を守る「特別加入」は、労働保険事務組合(RJCなど)を通さないと加入できません。

また、現場作業員が倉庫作業等を行う場合の保険料計算は複雑です。

正しい手続きの手順とは

大手損害保険会社も困惑する「青いチラシ」の正体は、建設業への事務所労災(継続事業)加入の厳格化指導です。

最高裁判例により「現場の下見」は現場労災の対象外であり、民間保険だけでは法令違反となりました。

令和7年10月以降、事務員不在でも倉庫作業等の「見込み」があれば加入が必須です。RJCなら社長の特別加入までセットで解決できます。

○○損保様からの「すみません、御社に契約者様から問い合わせがありまして…」

先日、大手損害保険会社の担当者様から、RJCに一本の電話が入りました。

その内容は、建設業界で今起きている「ある混乱」を象徴するものでした。

元請から『青いチラシ』が届いて、事務所の労災に入れと言われた
契約者様は『おたくの保険に入っているから、事務所の事故も補償されるよね?』と言っているが、どう答えればいいのか?」

保険のプロである損保担当者様ですら戸惑うこの事態。
実はこれ、令和7年10月から厳格化された厚生労働省の指導が背景にあります。

今回は、なぜ「民間の上乗せ保険」だけではダメなのか、
そして建設業の社長が絶対に知っておかなければならない「現場労災と事務所労災」について、徹底解説します。

元請から届く「青いチラシ」の正体とは?

相談に出てきた「青いチラシ」とは、厚生労働省・都道府県労働局が発行した『建設業の事業主の皆さまへ~所属労働者が特定の工事現場に付随しない業務を行う場合は事務所等の労災保険(継続事業)を成立させる必要があります~』というタイトルのリーフレットのことです。

現在、ゼネコンや大手ハウスメーカーなどの元請事業者は、国からの要請を受け、下請業者に対してこのチラシを配布し、「適正な保険加入」を確認するよう求められています。

チラシが警告しているのは、単なる推奨事項ではありません。
「現場の労災保険(一括有期事業)だけでは、法律上の義務を果たしていませんという、国からの「イエローカード」なのです。

なぜ「民間の上乗せ保険」では代用できないのか?

損保会社の担当者様が「ウチの保険なら事務所でのケガも出るんですが・・・」と疑問に思われたのは、民間保険の機能としては正解です。

しかし、元請や国が求めているのは「補償内容」の話ではありません。

ここで問われているのは、「公的義務(国の労災)の加入状況」です。

  • 国の労災保険: 労働基準法に基づく、事業主の法的義務。これを成立させていないと「法令違反」となります。
  • 民間の損害保険: 国の労災で足りない部分を補う上乗せ(任意)

たとえ民間の保険で数億円の補償を用意していても、土台となる「国の労災(事務所用)」が成立していなければ、元請から見れば「無保険業者(法令違反業者)」とみなされます。


だからこそ、損保会社の方も「これは民間保険の範囲外(制度の問題)だ」と気づき、RJCへ相談を寄せられたのです。

社長が陥る「3つの保険」の勘違い

多くの建設業の社長様は、「労災保険」を一つだと思われていますが、実際には以下の3つを使い分ける必要があります。

  1. 雇用保険: 従業員の失業給付などのため。
  2. 現場の労災(一括有期事業・末尾5): 現場作業中の事故を補償(元請がかけるもの)。
  3. 事務所の労災(継続事業・末尾6等): ←今回問題になっているのはコレ!

「現場の労災(②)に入っているから大丈夫」そう思い込んでいる社長が一番危険です。

実は、最高裁判所の判例で「現場の労災だけでは補償されない業務」が明確に示されているからです。

【判例】「下見中の事故」は労災0円! 広島中央労基署長事件

なぜ「事務所労災」が必要なのか。それを決定づけたのが「広島中央労基署長事件(平成24年最高裁判決)」です。

【事件の概要】
建設会社の事業主X氏(特別加入済み)が、これから工事を行う予定の「現場の下見」に行き、その帰路で交通事故に遭い死亡しました。遺族は労災(遺族補償)を請求しましたが、国はこれを「不支給」としました。

【なぜ払われなかったのか?】
最高裁の判断は以下の通りです。

  • 事業主X氏は「現場の労災(一括有期事業)」の特別加入しかしていなかった。
  • 「現場の労災」がカバーするのは、工事が始まってからの「建設現場内」の作業である。
  • 「下見」や「見積もり」は、工事契約前の「営業・経営活動」であり、現場作業ではない。
  • したがって、営業活動をカバーする「事務所労災(継続事業)」に加入していない以上、補償はできない。

この判決により、「下見」「見積もり」「資材準備」などは、現場の労災では守られないことが確定しました。

社長が現場に行くつもりでも、それが「下見」であれば、無保険状態と同じなのです。

令和7年(2025年)10月の新ルール:「事務員ゼロ」でも加入義務化へ

「うちは怖いから事務所労災に入ろう。でも、事務員がいないから入れないと言われた」
かつてはそんなケースもありました。しかし、令和7年(2025年)10月の通達でルールが劇的に変わりました。

厚生労働省は「見込み(みこみ)」という新しい基準を打ち出しました。

【変更前】
事務員などの「事務所専属の労働者」がいない場合、保険料の計算基礎となる賃金が発生しないので事務所労災は成立できないとされていました。

【変更後(現在)】
事務員がいなくても、現場の職人や社長自身が、以下のような作業をする「見込み」が少しでもある場合は、事務所労災の成立が必要とされました。

  • 年に数回の、倉庫や資材置き場の片付け・清掃
  • 台風や大雪の後の、自社施設の復旧・除雪作業
  • 見積もり作成のための現場下見
  • 資材等の準備や積み込み作業

「実際に作業した日」があるかではなく、今後その可能性がある(見込みがある)なら、「事務所労災(継続事業)」を成立させなさい、と労働局・監督署への指導が強化されています。
もはや「事務員がいないから」という言い訳は通用しません。

解決策:RJCなら現場も事務所も「セット」で対応可能

ご自身で労働基準監督署に行っても、この複雑な手続き(特に社長の特別加入)は完結しません。
窓口で「特別加入したい」と言っても、「事務組合を通してください」と断られてしまうからです。

RJC(労働保険事務組合)に依頼するメリットは、この複雑なパズルをワンストップで解決できる点にあります。

  1. 「箱」を作る:
    まず、義務化された「事務所労災(継続事業)」を成立させます。事務員がいなくても、「社長の特別加入のため」「倉庫作業の見込み」として手続きを行います。
  2. 「人」を入れる:
    作った箱の中に、社長自身を「特別加入」させます。
  3. 「フルカバー」の完成:
    これにより、現場作業中は「現場労災」で、下見や倉庫作業中は「事務所労災」で、社長の24時間を隙間なく守る体制が完成します。

結論:プロも頼るRJCへ相談を

AIG損保の担当者様からの問い合わせは、建設業界全体の「認識のズレ」を浮き彫りにしました。
「民間の保険」は、あくまで「国の労災」という土台があって初めて機能するものです。

元請から「青いチラシ」を渡されたら、それは「今のままでは、社長も従業員も守れないよ」という通知です。
複雑な計算や手続きはすべてRJCにお任せいただき、安心して現場とその他の業務に臨める環境を整えてください。

現場の労災も事務所の労災も、まずは建設業専門のRJCへお電話ください。

ご注意:この記事は2026年1月28日時点の情報に基づいて書かれています。
時間の経過により内容が変更されている可能性がありますので、ご利用の際は必ず最新の情報をご確認ください。
監修者の紹介

林満

元厚生労働省 厚生労働事務官

厚生労働大臣認可 愛知労働局長認可 建設業専門

労働保険事務組合RJC アドバイザー

林 満

はやし みつる

1971年に労働省(現厚生労働省)愛知労働基準局に入局。以降、名古屋東労働基準監督署や瀬戸労働基準監督署、愛知労働局で労災補償課および労働保険適用課にて奉職。適用指導官、職業病認定調査官、労災第一課長、労災保険審査官、労災管理調整官を歴任。特に特別加入制度の手続きや給付に関する相談対応に精通し、職業病認定調査官や労働者災害補償保険審査官としても活躍。2022年までの50年以上にわたる実務経験を持つ労災保険のエキスパート。現在はスーパーゼネコンの安全協力会において特別加入の相談指導を行っている。