外注のつもりが“従業員扱い”に?建設業で急増する雇用トラブルとは

中小事業主マガジン

この記事はこんな方におすすめです

  • これまでフリーランス(一人親方)だった人を社員にしようと考えている社長様
  • どんな時に「雇用保険」に入らせる義務があるのか分からない方
  • 労災保険や雇用保険の手続きが面倒で、誰かに相談したいと思っている方

日本最大級|建設業専門の労働保険事務組合RJC

私たちは日本一の建設業専門の事務組合を目指しています!

早い: 24時間WEB完結・カード即発行
安心: ゼネコンが選ぶ実績No.1
確実: 建設業専門のプロが完全代行

はじめに

最近、建設業界では
「今までフリーランス(一人親方)として応援に来てもらっていた職人さんを、
正式にうちの社員として雇うことにしたよ」というお話をよく耳にします。

「腕が良いからずっとうちで働いてほしい」
「人手不足だから、よその現場に行かずに自社の専属になってほしい」

このように、信頼できる職人さんを社員に迎えるのは、
会社を大きくしていくためにも本当に素晴らしいことですよね。

でも、ここで多くの社長様が壁にぶつかってしまう問題があります。

それが「雇用保険(こようほけん)」の手続きです。

「今までフリーランスの一人親方だったんだから、社員になっても雇用保険なんか入らなくていいよね?」
「本人が『給料が減るから雇用保険なんて入りたくない』って言っているから、手続きしなくて大丈夫かな?」

そんな風に思っていませんか?

実はこれ、一歩間違えると法律違反になってしまい、あとから役所から怒られたり、
大きなトラブルになったりする原因になるのです。

この記事では、建設業の社長様に向けて
フリーランスを雇った時に、なぜ雇用保険が必要なのか」を優しく分かりやすく解説しますね!

フリーランスを雇ったら雇用保険は必要?大事な2つの条件

結論からお伝えしますね。

これまでフリーランスや一人親方として働いていた方であっても、
会社が「従業員(社員)」として新しく雇い入れた場合は、
原則として雇用保険への加入が絶対に必要になります!

ここで一番大切なのは、
「その職人さんが、昔どんな働き方をしていたか」は全く関係ないということです。

昔がフリーランスだったからといって、今の加入義務が免除されるわけではありません。

見るべきポイントは、「今、社長の会社とどんな形で契約して働いているか」です。

具体的には、国が定めた以下の「2つの条件」をどちらも満たしている場合は、
会社は絶対にその人を雇用保険に入れなければいけないルールになっています。

【雇用保険に入らなければいけない2つの条件】

  • ① 1週間の働く時間が「20時間以上」であること
  • ② 31日以上、続けて働く見込みがあること

どうでしょうか?

「フリーランスからうちの社員(レギュラーメンバー)になってもらう」という場合、
ほとんどのケースでこの2つの条件に当てはまるのではないでしょうか。

建設業界では、昔からの付き合いや職人さん同士のつながりで、
「とりあえず明日から毎月うちの現場に来てよ」
「給料は日給で計算して、月末にまとめて払うからさ」
というように、口約束だけで曖昧にスタートしてしまうことがよくあります。

ですが、どんなに口約束が曖昧であっても、実態として「週20時間以上」働いていて
「これからもずっと働く予定」であれば、法律上は自動的に雇用保険の対象になります。

もし「手続きが面倒だから」「お金がかかるから」といって雇用保険に入れないままでいると、
次のような大問題が起きてしまうかもしれません。

雇用保険に入らないままでいるとどうなる?

  • 国の役所(ハローワークなど)から呼び出されて、厳しく指導される
  • 過去にさかのぼって、何カ月分(場合によっては何年分)もの保険料を会社が一気に一括で払わされる
  • 国からもらえるはずのお得な「助成金」が、一切もらえなくなる
  • 職人さんが辞めるときに「なんで雇用保険に入れてくれなかったんだ!」と大揉めになり、裁判沙汰になる

社長様の大切な会社を守るためにも、
「元フリーランスだから雇用保険はいらないだろう」という思い込みは一度捨てて、
今の働き方をしっかりチェックすることが大切です。

それに、雇用保険に入ることは、働く職人さんにとっても実はものすごく大きなメリットがあります。

  • 万が一、会社を辞めることになっても、次の仕事が見つかるまで「失業手当」がもらえる
  • ケガや病気、育児や介護でどうしても仕事を休まなければいけない時に、国から手当金が出る

「うちは雇用保険にもしっかり入れる、ちゃんとした安心できる会社だよ」とアピールできれば、
職人さんも「この社長にずっとついていこう!」と思ってくれますよね。

良い人材に長く安心して働いてもらうためにも、雇用保険はなくてはならない大切な制度なのです。

知らないと怖い!「外注」と「従業員」のハッキリとした違い

建設業の現場で一番トラブルになりやすいのが、
この「外注(フリーランス)」と「従業員(雇われている社員)」の違いです。

社長様としては、「うちとしては、あいつのことは今でも『外注(請負)』として扱っているから、
雇用保険なんて関係ないよ」と思っているかもしれません。

ですが、ここが落とし穴です!

会社がいくら「外注だ」と主張していても、
労働基準監督署やハローワークといった役所の人が現場や書類を見たときに、
いや社長、これはどう見ても外注ではなく、あなたの会社の『従業員』ですよ」と
ひっくり返されてしまうことが本当によくあるのです。

外注(フリーランス)と従業員には、以下のようなハッキリとした違いがあります。

社長様の会社の職人さんがどちらに当てはまるか、指を折りながら確認してみてくださいね。

【外注(フリーランス・一人親方)の特徴】

  • 仕事の進め方や段取りを、自分の裁量で自由に決められる
  • 働く時間(何時に来て何時に帰るか)を自分で決められる
  • 仕事で使う道具や車両を、すべて自分のお金で用意している
  • 社長の会社だけでなく、他社の応援や現場の仕事も自由に掛け持ちして受けている
  • もらうお金は給料ではなく、仕事を完成させたことに対する「請負代金(外注費)」である

【従業員(社員・アルバイト)の特徴】

  • 社長や現場監督から「あれをやれ」「次はこの作業をして」と細かく指示命令を受けている
  • 朝8時集合など、勤務時間や休日が会社のルールで決まっている
  • 現場で使う大きな道具や作業車、材料などはすべて会社が用意してくれている
  • 他社の仕事を勝手に受けることができず、社長の会社の仕事だけを専属でやっている
  • 毎月、働いた日数や時間に応じて「給料(賃金)」としてお金をもらっている

いかがでしょうか?

建設業界で特によくあるのが、
書類上は『外注契約書』を交わしているけれど、毎日の働き方は完全に社長の指示通りに動いている従業員そのもの」というケースです。

このように、名前だけを「外注」にしてカモフラージュしていても、
国は「書類の名前」ではなく「実際の働き方の実態」を見て判断します。

実態が従業員であれば、どれだけ言い訳をしても雇用保険への加入義務が発生するのです。

さらに、これが一番怖いのですが、現場で大ケガ(労災事故)が起きたときに大問題になります。

本来は従業員として扱うべき人なのに、会社が勝手に「外注」として扱って雇用保険にも労災保険にも入れていなかった場合、
事故が起きたときに国の保険が使えない可能性があります。

そうなると、職人さんへの莫大な治療費や休業補償を、
社長様が会社の自腹(最悪の場合は社長個人のポケットマネー)で一生背負って支払わなければいけなくなるリスクだってあるのです。

「外注だから大丈夫」
「昔からみんなこうやっているから問題ない」
という昔ながらの職人気質の考え方は、今の時代は本当に危険です。

雇用保険だけでなく、労災保険も含めて、
自社の職人さんが正しい契約になっているかを今一度確認しましょう。

建設業でよくある雇用保険の勘違い

ここでは、建設業の社長様から特によくご相談をいただく、
雇用保険に関する「4つの大勘違い」をご紹介します。

「あっ、うちもそう思ってた!」というものがないか、ぜひチェックしてみてください。

【勘違い1】「まずは試用期間(見習い)だから、雇用保険はまだいらないよね?」

⇒ いいえ、間違いです!試用期間中であっても加入が必要です。
「まずは3カ月くらい様子を見て、ちゃんと真面目に働く社員だと分かってから雇用保険に入れよう」と後回しにする社長様がとても多いです。
ですが、試用期間であっても、先ほどお伝えした「週20時間以上働く」「31日以上働く見込みがある」という条件を満たしていれば、働き始めたその初日から雇用保険に入れなければいけません。
「正式採用してからでいいや」は通用しないので注意してくださいね。

【勘違い2】「うちは月給じゃなくて『日給制』だから、雇用保険は関係ないでしょ?」

⇒ いいえ、給料の計算方法は関係ありません!日給制でも入る必要があります。
建設業界では「日給1万5千円×出勤日数」というように、日給月給制で働く職人さんがたくさんいます。
そのため「日給=アルバイトや外注みたいなものだから、雇用保険はいらない」と思い込んでいる社長様がいます。
しかし、給料が日給だろうが、時給だろうが、月給だろうが、関係ありません。
大事なのは「働く時間と期間」の条件だけです。
日給制の職人さんであっても、レギュラーとして現場に入っているのであれば必ず加入させてください。

【勘違い3】「本人が『雇用保険料を引かれたくないから入りたくない』って言うから入れなくていいよね?」

⇒ いいえ、本人が拒否しても、会社には加入させる義務があります!
これ、実は社労士へのご相談で一番多いお悩みです。
職人さんから「雇用保険に入ると給料から数千円引かれちゃうからヤダ」「手取りが減るなら職人を辞める」なんて脅されて、困り果ててしまう社長様がたくさんいらっしゃいます。
お気持ちは本当によく分かります。
ですが、雇用保険は「入りたい人だけが入る任意保険」ではなく、法律で決まった「強制保険」です。
本人の希望で加入させないでいると、あとから国に見つかったときに罰せられるのは職人さんではなく、社長様(会社)です。
職人さんには「これは会社の法律で決まっているルールだから、あなたと会社を守るためにもどうしても入らないといけないんだよ」と、優しく説得してあげてくださいね。

【勘違い4】「あいつは『一人親方の労災保険』に自分で入っているから、うちは何もしなくて大丈夫!」

⇒ いいえ、会社に雇われた時点で、一人親方の保険は使えなくなることがあります!
フリーランス時代に、その職人さんが自分で「一人親方労災保険」の特別加入に入っていたとしても、社長の会社に雇用されて「従業員」になった瞬間に、その一人親方の保険は原則として使えなくなってしまいます(一人親方とは、あくまで独立して一人で仕事をしている人のことだからです)。
従業員になったのであれば、会社が用意する「一般の労災保険」と「雇用保険」のセットに切り替えてあげなければいけません。
「前の保険が残っているからいいや」と放置していると、現場で事故があったときに誰も守ってくれなくなってしまいます。

このように、雇用保険の手続きを「よく分からないから」と後回しにしたり放置したりすると、いざという時に離職票が発行できなくて職人さんとモメたり、国からの助成金が全額不支給になったりと、社長様にとって何一つ良いことはありません。

建設業界は今、深刻な人手不足です。
だからこそ、「うちは社会保険や雇用保険、労災保険もしっかり整っている、職人を大切にするクリーンな会社だよ!」と胸を張って言える環境を作ることが、これからの時代を生き残る社長様の最大の武器になります。

まとめ

これまでフリーランスや一人親方として自由に働いていた職人さんであっても、
社長の会社に新しく仲間(従業員)として迎え入れるのであれば、
法律にのっとって正しく雇用保険へ加入させることが必要不可欠です。

特に建設業は、現場によって「外注(請負)」なのか「従業員(雇用)」なのかの線引きが
とても曖昧になりやすく、役所からのチェックも年々厳しくなっています。

「うちのこの職人さんの場合は、雇用保険に入れるべき?」
「外注と従業員の区別が、自分の会社だけで判断するのは不安だな…」
「労災保険や特別加入の手続きも合わせて、ややこしい書類仕事を丸投げしたい!」

そんな風に少しでも不安になったり、お困りになったりしたときは、決して一人で悩まずに、
建設業の労災や雇用のプロフェッショナルである私たちにいつでもお気軽にご相談くださいね。

社長様が安心して現場の仕事と経営に集中できるよう、
私たちが優しく全力でサポートさせていただきます!

建設業の中小企業を支える、頼れるパートナー。

お困りごとは、「中小事業主特別加入RJC」にお任せください!

日本最大級|建設業専門の労働保険事務組合RJC

私たちは日本一の建設業専門の事務組合を目指しています!

早い: 24時間WEB完結・カード即発行
安心: ゼネコンが選ぶ実績No.1
確実: 建設業専門のプロが完全代行

ご注意:この記事は2026年5月21日時点の情報に基づいて書かれています。
時間の経過により内容が変更されている可能性がありますので、ご利用の際は必ず最新の情報をご確認ください。
監修者の紹介

林満

元厚生労働省 厚生労働事務官

厚生労働大臣認可 愛知労働局長認可 建設業専門

労働保険事務組合RJC アドバイザー

林 満

はやし みつる

1971年に労働省(現厚生労働省)愛知労働基準局に入局。以降、名古屋東労働基準監督署や瀬戸労働基準監督署、愛知労働局で労災補償課および労働保険適用課にて奉職。適用指導官、職業病認定調査官、労災第一課長、労災保険審査官、労災管理調整官を歴任。特に特別加入制度の手続きや給付に関する相談対応に精通し、職業病認定調査官や労働者災害補償保険審査官としても活躍。2022年までの50年以上にわたる実務経験を持つ労災保険のエキスパート。現在はスーパーゼネコンの安全協力会において特別加入の相談指導を行っている。