「社長の労災番号」いくらが普通?中小事業主特別加入の料金相場

「社長の労災番号」いくらが普通?中小事業主特別加入の料金相場 中小事業主マガジン
「社長の労災番号」いくらが普通?中小事業主特別加入の料金相場

この記事はこんな方におすすめです

  • 元請会社や現場から「社長の労災番号」「加入証明書」を求められた人
  • 事務組合から見積りをもらったものの、高いのか安いのか判断できない人
  • 料金だけでなく、加入までの早さや証明書の取りやすさも比較したい人

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はじめに

中小事業主特別加入の料金は、給付基礎日額3,500円・社長1名なら年9万円前後が中心です。ただし、事務委託の範囲によって、初年度は約3万円から15万円近くになることもあります。公開料金を独自に調べ、年払い・月払いの相場と価格差の理由を整理しました。

中小事業主特別加入の相場は、ずばりいくら?

今回、インターネット上で料金を確認・試算できた商工会や労働保険事務組合、社労士事務所などの公開料金を調査しました。

建設業の社長1名が中小事業主特別加入をするケースでは、次の金額がひとつの目安になります。

社長1名、給付基礎日額3,500円、新築工事業の場合

支払い方法確認できた価格帯中心となる相場感
年払いプラン約27,000~270,000円約70,000~110,000円
月払いプラン約3,000~18,000円約7,000~12,000円

公開料金5パターンを同等条件に近づけて単純集計すると、年総額は次の結果になりました。

独自調査の集計年額年額を12か月で割った金額
単純平均約90,200円約7,500円
中央値約86,400円約7,200円

したがって、給付基礎日額3,500円(新築工事業)で社長1名が加入する場合は、年額なら9万円前後、年額を12か月で割ると月7,000~8,000円前後をひとつの相場として考えると分かりやすいでしょう。月払いプランとはサブスクリプションのことです。当然、月払いになると1か月あたりの費用は高めになります。

ただし、「月額5,000円」と表示されていても、保険料・入会金・成立手数料が別になっている場合があります。反対に、月額料金に保険料や各種手続きが含まれているサービスもあります。月額表示だけでなく、年度に支払う総額で比べることが重要です。

相場の結論
給付基礎日額3,500円・社長1名の中小事業主特別加入は、年払いで7万~11万円、月払いで7,000~12,000円程度が中心。安いケースは年3万円前後から、雇用保険事務や顧問契約などが付くケースでは年20万円近くになることがあります。

なぜ、3万円から20万円近くまで差が出るの?

中小事業主特別加入の支払額は、国に納める「特別加入保険料」だけではありません。事務組合ごとの会費や手数料、委託しなければならない業務が加わるため、大きな価格差が生まれます。

金額が変わる項目内容
特別加入保険料給付基礎日額と事業の労災保険料率で変わる
入会金・年会費事務組合ごとに異なる。初年度だけ入会金がかかる場合もある
労働保険の成立手続き新規成立、年度更新などが別料金になる場合がある
雇用保険の事務委託特別加入だけでは契約できず、従業員の雇用保険事務がセットになる場合がある
社会保険・顧問契約社労士との契約や社会保険手続きが加入条件になっている場合がある
証明書・事故対応証明書の再発行、労災請求、年度更新などに追加料金がかかる場合がある

例えば、公開料金の中には「労災保険のみ月5,000円」に対し、「雇用保険も委託する場合は加入者1名につき月2,000円追加」という料金体系があります。入会金と新規適用手数料、社長の特別加入保険料12,131円(日額3500円/新築工事業)を加えると、雇用保険加入者1名でも初年度約146,700円という試算になります。

従業員が増えれば事務委託料も上がります。雇用保険加入者が5名なら、同じ料金体系で初年度約252,300円となり、従業員分の労働保険料はさらに別途必要です。

つまり、見積りが高いからといって、必ずしも割高とは限りません。特別加入だけの料金なのか、会社全体の労働保険事務まで含む料金なのかを分けて確認する必要があります。

料金だけで決めない。「早さ」と「便利さ」のバランスも見て。

現場へ入るために加入証明書を求められている場合、数千円の差よりも「いつ証明書を出せるか」のほうが重要になることがあります

料金を比較するときは、次の項目を確認しておきましょう。

比較項目確認したいこと
加入までの早さ申込み当日・翌日から加入できるのか、数日~数週間かかるのか
証明書の発行入金後いつ発行されるのか。即日発行に対応しているか
証明書の取得方法電話・窓口・社労士経由なのか、マイページから取得できるのか
利用可能時間平日の営業時間内だけか、24時間ダウンロードできるのか
再発行料金現場ごとの提出や再発行に追加料金がかからないか
委託の範囲特別加入だけを依頼できるか。雇用保険・社会保険・顧問契約が必須か
毎月や更新時の支払方法組合に現金を持参しないといけないのか、クレジットカードや口座振替で自動振替できるのか
事故後の対応労災請求の手続きが会費に含まれるか、別料金か

「安い事務組合は必ず遅い」とは限りません。実際に、比較的低い年会費で最短翌日加入や証明書の即日発行を案内している団体もあります。一方、料金が安くても、証明書の依頼方法や再発行、事故時の手続きに別料金や時間がかかるケースは考えられます。

大切なのは、価格だけで判断せず、加入までの日数、証明書の取得方法、追加料金、不要なセット契約の有無まで含めて比較することです。

結局、どの価格帯を選べば安心?

最安価格を優先するなら、年5万~7万円程度のプランも候補になります。ただし、対応地域や元請工事の有無、雇用保険手続きへの対応など、加入条件が限定されていることがあります。

年間の価格帯の目安(給付日額3,500円/新築工事業)想定される内容・確認点
年3万~6万円程度最低限の特別加入が中心。対応条件、支払方法、追加料金を確認
年7万~11万円程度価格・発行速度・オンラインでの利便性を比較しやすい中心価格帯
年11万~15万円程度新規成立手続きや雇用保険事務などを含むことがある
年16万~24万円以上複数従業員の手続き、社会保険、社労士顧問契約などを含む可能性がある

中間価格だから自動的に安心というわけではありません。しかし、年7万~11万円程度で、加入証明書を早く受け取れ、必要なときにオンラインで取得でき、追加料金も分かりやすいのであれば、価格・早さ・便利さのバランスは取りやすいといえます。

見積りを比較するときは、「いくらか」だけでなく、その金額で何をしてもらえるのかを確認してください。それが、払い過ぎと手続きの不便さの両方を避ける選び方です。


調査条件・注意事項

  • 2026年8月12日時点で、ウェブ上に公開されている料金を調査しました。
  • 公開料金5パターンについて、社長1名、給付基礎日額3,500円、原則12か月加入、特別加入保険料12,131円として初年度費用を集計した独自調査です。
  • 料金体系が異なるため、完全に同一条件の比較ではありません。幅がある料金は中間値を使用しています。
  • 年額の平均・中央値には、特別加入保険料12,131円、会費、公開されている初期費用を含めています。従業員本人の労災保険料・雇用保険料は含めていません。
  • 実際の料金は、業種、給付基礎日額、加入月、従業員数、元請工事の有無、委託範囲などによって変わります。

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ご注意:この記事は2026年8月11日時点の情報に基づいて書かれています。
時間の経過により内容が変更されている可能性がありますので、ご利用の際は必ず最新の情報をご確認ください。
監修者の紹介

林満

元厚生労働省 厚生労働事務官

厚生労働大臣認可 愛知労働局長認可 建設業専門

労働保険事務組合RJC アドバイザー

林 満

はやし みつる

1971年に労働省(現厚生労働省)愛知労働基準局に入局。以降、名古屋東労働基準監督署や瀬戸労働基準監督署、愛知労働局で労災補償課および労働保険適用課にて奉職。適用指導官、職業病認定調査官、労災第一課長、労災保険審査官、労災管理調整官を歴任。特に特別加入制度の手続きや給付に関する相談対応に精通し、職業病認定調査官や労働者災害補償保険審査官としても活躍。2022年までの50年以上にわたる実務経験を持つ労災保険のエキスパート。現在はスーパーゼネコンの安全協力会において特別加入の相談指導を行っている。