現場じゃないのに現場労災?資材置場でケガした場合を解説

中小事業主マガジン

この記事はこんな方におすすめです

  • 資材置場や倉庫で職人が作業することがある建設業の社長
  • 「資材置場でのケガは現場労災?」と疑問に思っている方
  • 現場労災と事務所等労災の境界を知っておきたい方

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はじめに

「職人が自社の資材置場でケガをした!」

そんなとき、どの労災を使えばいいか分かりますか?

「工事現場じゃないから、事務所等労災でしょ?」

実は、必ずしもそうとは限りません。

建設業では、工事現場にかかる「現場労災」と、事務所や資材置場などにかかる「事務所等労災」があります。

そして、資材置場で起きた事故については、単純に「ケガをした場所」だけで判断することはできません。

ポイントになるのが、「その作業が特定の工事に付随するものだったか」です。

今回は、資材置場で職人がケガをした場合にどの労災を使うのか、具体的なケースを使って分かりやすく解説します。

資材置場でのケガは「事務所等労災」とは限らない

建設業の労災には、大きく分けて「現場労災」と「事務所等労災」があります。

現場労災は、建設工事現場にかかる労災保険です。

元請会社が成立させた現場労災では、その工事に従事する元請・下請の労働者が対象となります。

一方、事務所等労災は、会社の事務所や資材置場、倉庫など、特定の工事現場に付随しない業務を行う自社の労働者にかかる労災保険です。

ここで注意したいのが、

「資材置場でケガをした=事務所等労災」ではない

ということです。

資材置場での作業であっても、特定の工事に付随する作業であれば、その工事の現場労災が適用される場合があります。

つまり、「どこでケガをしたか」だけでなく、「何のためにその作業をしていたのか」まで確認することが大切です。

ケース別!現場労災と事務所等労災の境界

資材置場でのケガについて、具体的なケースで見てみましょう。

ケース① 特定の工事で使う資材を準備中にケガ

下請B社の職人が、自社の資材置場で元請A社の工事に使用する資材を準備していました。

その作業中に資材が倒れ、職人がケガをしました。

この場合、事故が起きた場所は「B社の資材置場」ですが、行っていたのは元請A社の特定の工事に付随する作業です。

そのため、元請A社の工事にかかる現場労災の対象となる場合があります。

ケース② 特定の工事とは関係なく資材置場を整理中にケガ

職人が仕事の空いた時間に、自社の資材置場を整理していました。

複数の現場で使用する資材を片付けたり、不要なものを整理したりしており、特定の工事のために行っていた作業ではありません。

その作業中に転倒してケガをしました。

このような特定の工事に付随しない資材置場での作業であれば、自社の事務所等労災の対象となる場合があります。

ケース③ 道具や重機を清掃・メンテナンス中にケガ

資材置場では、

・電動工具の清掃
・重機のメンテナンス
・型枠の整理整頓
・道具の片付け

などを行うこともあります。

この場合もポイントは、特定の工事に付随する作業なのかどうかです。

特定の工事のために行っていた作業であれば現場労災、特定の工事とは関係なく日常的な整理・清掃などをしていたのであれば事務所等労災となる場合があります。

同じ資材置場で起きた事故でも、「そのとき何のために作業をしていたのか」によって、適用される労災が変わる可能性があるのです。

資材置場で作業する会社は事務所等労災も確認しよう

「うちは職人しかいないから、事務所等労災はいらない」

と思っていませんか?

事務員を雇っていない会社でも注意が必要です。

職人が自社の資材置場や倉庫で、特定の工事とは関係なく資材を整理したり、重機や電動工具を清掃したりすることがあれば、事務所等労災の成立が必要となる場合があります。

特に、

・自社の資材置場や倉庫がある
・職人が資材整理をする
・工具や重機の清掃・メンテナンスをする
・現場がない日に資材置場を片付ける

このような会社は注意が必要です。

「現場労災があるから、職人のケガはすべてカバーできる」とは限りません。

資材置場などでの作業がある会社は、事故が起きる前に事務所等労災がきちんと成立しているか確認しておきましょう。

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まとめ

資材置場で職人がケガをしたとき、

「資材置場だから事務所等労災」

と判断するのは早いです。

重要なのは、ケガをした場所だけでなく、そのとき何のために作業をしていたのかです。

特定の工事に付随する作業
→ その工事の現場労災となる場合がある

特定の工事に付随しない資材置場の整理・清掃など
→ 自社の事務所等労災となる場合がある

同じ資材置場で起きた事故でも、作業内容や目的によって使う労災が変わることがあります。

実際の事故では作業内容や契約関係などによって判断が異なる場合があるため、迷った場合は労働基準監督署などへ確認しましょう。

また、資材置場や倉庫で職人が作業する会社は、「事務所等労災が必要な働き方をしていないか」も一度確認しておくことをおすすめします。

建設業専門の労働保険事務組合RJCでは、現場労災だけでなく事務所等労災についてもサポートしています。

もし「うちは片方しか入っていないかも?」「どっちに入ればいいか分からない」と少しでも不安になったら、いつでも私たちを頼ってくださいね。

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ご注意:この記事は2026年4月15日時点の情報に基づいて書かれています。
時間の経過により内容が変更されている可能性がありますので、ご利用の際は必ず最新の情報をご確認ください。
監修者の紹介

林満

元厚生労働省 厚生労働事務官

厚生労働大臣認可 愛知労働局長認可 建設業専門

労働保険事務組合RJC アドバイザー

林 満

はやし みつる

1971年に労働省(現厚生労働省)愛知労働基準局に入局。以降、名古屋東労働基準監督署や瀬戸労働基準監督署、愛知労働局で労災補償課および労働保険適用課にて奉職。適用指導官、職業病認定調査官、労災第一課長、労災保険審査官、労災管理調整官を歴任。特に特別加入制度の手続きや給付に関する相談対応に精通し、職業病認定調査官や労働者災害補償保険審査官としても活躍。2022年までの50年以上にわたる実務経験を持つ労災保険のエキスパート。現在はスーパーゼネコンの安全協力会において特別加入の相談指導を行っている。